「原作との距離」点数表の提案

原作付きの物の原作との距離の分類 - id:karimikarimi
http://d.hatena.ne.jp/karimikarimi/20090819/1250618945
問題提起としては素晴らしいが、議論の内容にはやや違和感がある。「**型」と1変数1出力の関数のグラフで原作との距離を表しているようだが、それは同じ次元にあるならノルム(距離)で半順序化出来るんじゃないかと。もし次元が違う話をしているなら、グラフ描く意味ないよねって話になる。上記エントリでも「原作の距離感の分類」と言っているし、タイプ別の「距離感」は単一の尺度で測れると仮定いていると思ってよさそうだ。
で、上記エントリではグラフの形で議論をしているけど、キモはそのグラフの高さの方じゃないかと思う。例えば「変化型」について言えば「最後がちょっと違う」と「最後が全然別物」というのでは、距離感に大きな差が出るであろうことは容易に想像出来る。一方で、「このラストは原作から遠い」「いや近い」というのは何らかの基準がない限り永遠の水かけごっこにしかならない。「**と**と**が違うから遠い」という主張なら、「いやそれは私にとっては大したことではない、それよりも**と**は変わってないからむしろ近い」と議論っぽいことが可能になる訳だが、この場合実は双方とも同じような距離感を抱いているにも関わらず、一方は違いに寛容で、一方はそうでないため一見違うことを主張しているように見えるということが有り得る。
この手の問題はどうやって避けるのか?2つ仮定をすればノーマライズ出来るはずだ。

  1. 原作と作品の「距離感」は非負の数値で一元化出来る
  2. どのような人であっても、「完全に同じ」と「完全に別物」は同一の距離を持つ

これだけで理屈の上では距離感を表現出来るはずだが、距離感は究極のところ主観の話である。そして自分の主観そのものを他人に理解させる方法はない*1。ならば自分の主観を表現するために取るべき手は、成分分析による点数表の作成だろう。例えば自分なら下のような点取り表を作る。

  1. 世界観設定 最高+20点
    1. 時間的に異なる舞台 最高+10
      1. 異なる時代 +10
      2. 異世界 +10
      3. その他設定に影響がない程度のズレ +1
    2. 空間的に異なる舞台 最高+10
      1. 異世界 +10
      2. 同じ世界の別の場所 +5
      3. その他設定に影響がない程度 +1
    3. 魔法の導入/削除・科学技術水準の大幅な変更 +10
  2. ストーリー 最高+30
    1. 原作にないエピソード 最高+10
      1. 原作で存在が明示的に示されていた +1
      2. 原作で存在は示されていないが、自然に類推出来る +3
      3. ストーリーの重大な分岐を伴う +10
    2. 原作から削られたエピソード 最高+10
      1. ストーリー進行に影響がない +1
      2. ストーリーの重大な分岐を伴う +10
    3. 異なる結末 最高+10
      1. 原作の途中までをアニメ化した、あるいは原作より先に進んでしまったための変更 +1
      2. 完結作品を部分的にアニメ化したため +1
      3. 原作にないルート +5
      4. 作品テーマに限定的な影響 +5
      5. 作品テーマに致命的な影響を与える*2 +10
  3. キャラクター 最高+30点
    1. キャラ設定 最高+10
      1. 名前が異なる +2
      2. 造形に原作との同一性を認められない +3
      3. その他雑多な変更 1つにつき+1
    2. 重要なキャラクターの原作と矛盾する性格・言動 +10
    3. 原作にあったエピソードでの、そのエピソードからの重要なキャラクターの削除 +10
    4. 重要なキャラクターの追加 1人につき+5
  4. 演出面 最高+20点
    1. 実写映像 最高+10点
      1. 原作にはない実写映像(非キャラクター) +2
      2. 部分的に原作にもいる主要キャラクターを実写で代替 +10
    2. 原作からはおよそ考えられないBGM*3 +5
    3. 原作からはおよそ考えられない映像表現*4 +5

100点でノーマライズしてある。加点方式、カテゴリ・サブカテゴリ別に最高点数を設けてある。0点で「全く同じ」、100点で完全な別物、となる。こまけーよ!と怒られそうだが、自分の主観を示す時にはこれくらいの精密さを以て示すべきだろう。はっきり言ってこれでもまだ雑過ぎるくらいだが、これ以上細かくすると採点が大変過ぎるので誤魔化した。
とりあえず上記エントリで出された作品の中で、自分が知ってるものを採点してみることにする。
例1)けいおん!
原作から類推出来る程度のエピソード追加+3、ストーリー進行に影響がない程度のエピソード削除+1、原作途中による結末変更+1、原作にないルートED+5、中盤ライブのPVで原作から考えられない映像表現+5+、計15点。私の主観ではけいおん!はそれほど原作とは異ならない。
例2)ネギま!?(2期)
異世界+10、異世界+10、ストーリーの分岐+10(最初から全く違うストーリーも分岐に計上)、ストーリーの分岐+10、原作にないルート+5、作品テーマに限定的な影響+5、重要なキャラクターを2人追加+10(アレとアレを重要と言うかは悩ましいが・・・)、で60点。これだけ高得点なら完全な別物とまでは行かなくても、かなり違うものということになる。
言うまでもないが、この手の点数表は人によって異なるものだ。異なるなら意味ないんじゃないの?と言われるかもしれないが、自分が何をどの程度重視しているか、を定量的に示すことの意義がある。主観であるから、同じ人が作っても昨日とは違う点数表になることもあって当然だろう。ただ、「けいおん!はラストが違うから全然別物だ!『結末が異なる +100』!」とかやっても信頼性が無くなるだけだとは思う。
もう一つ念のため言っておけば、この点数の高い/低い自体は作品の善し悪しには関係ない。「俺原作厨原作原理主義だから、15点もあるあのアニメは糞と言わせてもらう」と言ってもいいし、「60点もあるけど別物としてはあれはよく出来てるよ」と言ってもいい。距離は距離、デキはデキである。



個人的にはけいおん!のエンディング変更はアリアリ。あとやっぱりネギま!?は「ない」。

*1:他人の主観をそのまま理解したい人類補完主義者はpurgeされるといいと思うよ。少なくともリアルにその手の妄想を持ち込むのは世界平和と繁栄の敵になるからやめて欲しい。

*2:ファーストガンダムが戦争翼賛アニメになってしまった!

*3:よつばと!でバリバリのトランスが流れた!

*4:狼と香辛料で近未来SF的PVが流れてしまった!