マグロウヒル 離散数学

離散数学―コンピュータサイエンスの基礎数学 (マグロウヒル大学演習)

離散数学―コンピュータサイエンスの基礎数学 (マグロウヒル大学演習)

アマゾンに投稿したレビューのコピペ

離散数学の基礎にして初歩の本。
ページ数と目次を見ればどういう本か分かるでしょう。タイトルだけ挙げていくと 集合論、関係、関数、ベクトルと行列、グラフ理論、平面的グラフ・彩色・木、有向グラフ・有限オートマトン、組み合わせ解析、代数系形式言語、順序集合と束、命題計算、ブール代数 となります。300ページに満たない(版形は大きいですが)本にこれだけの内容を詰め込んでいることから分かるように、各分野については本当に「さわりだけ」といった感じです。深い話や応用についてはその道の書籍をあたることが必要でしょう。
ただ、では役に立たない本なのかというとそういうことはなく、本書のターゲットが入り口を見せることであることを考慮すれば良書です。本文は平易で分かり易く、図も必要十分、例(題)豊富、演習問題の量も十分ありなおかつかなり親切な解答つき。また前提となる知識は高校以前の数学程度で、独習するのにも使えます。ページ数は少ないですが、和書によくある「シンプルスマートに書いてあるけど理解できない」ということもありません。強いて難点を挙げれば、応用の方向が見えないので教養と割り切るor後で必要になる基礎だという強い確信がないと勉強する意欲を保ちにくいという点ですが、これは類書に共通の性質なので仕方のないところでしょう。
私はカリキュラムの都合上学部3年でこの本を読みましたが、訳者の言うように大学初年級程度に適当な本かと思います。

で、書籍中で気になったこと

p.9 1.9 論証とベン図

S1:私のシチューなべは、私の持っているものですず製の唯一つのものである。
S2:あなたのプレゼントはすべて大変有用であると思う。
S3:私のシチューなべはどれもつかいにくい。

S:あなたの私へのプレゼントはすず製ではない。

教科書では上図のようなベン図を描いて、S1、S2、S3よりSが正しいという論証やってるんですよね。でもこの論証おかしくない?ってことで。
「S1より左側の二重円が導かれ、S3よりシチューなべの集合と有用なものの集合は互いに素なので右側の円が描ける」というのがテキストの主張。でもこれってS1で「私のシチューなべ⊃すず製なべ」を仮定してると思うんですが。S1の仮定が「すず製のものは私の持っているシチューなべ唯一つである」なら上図で正しいんですけどね。もしかしたら英語原文だと「私のシチューなべ⊃すず製なべ」を導ける文章なのかもしれませんが、日本語的には「私のシチューなべ⊂すず製なべ」しか導けません。
正しいベン図描くと

こうなるんじゃないかと。よって「あなたのプレゼントはすず製かもしれないしそうでないかもしれない」。